AIの普及によって、ホームページの制作方法は大きく変わりました。
文章案の作成、情報整理、デザイン案の検討、コーディングなど、これまで人が時間をかけていた作業の多くを、AIが支援できるようになっています。
しかし、制作作業が効率化されたからといって、成果につながるホームページを簡単に作れるようになったわけではありません。
むしろ、制作会社にはこれまで以上に、
- 企業の強みをどのように整理するのか
- 誰に、何を、どの順番で伝えるのか
- 問い合わせや採用などの成果にどう結びつけるのか
- 公開後にどのように検証し、改善するのか
といった、経営とWebをつなぐ設計力が求められるようになりました。
こうした変化を背景に、最近では金融機関のご担当者から、融資先のWeb制作会社に対して、制作の進め方や事業面についてアドバイスをしてほしい、というご相談をいただく機会が増えました。
サクセシオが日頃から実践している仕事の流れに共感していただき、このようなご依頼をいただけることは、とてもありがたいことです。
また、お話をした制作会社の皆さまが目を輝かせながら耳を傾けてくださり、「自社の制作にも、この考え方を取り入れてみたい」と言ってくださることにも、大きな喜びを感じています。
なお、サクセシオは、制作会社の外側から助言するだけの会社ではありません。
私たち自身が、戦略設計からデザイン、構築、公開後の改善までを行うWeb制作会社です。
今回ご紹介するのは、サクセシオが実際の制作現場で使い、磨いてきたスキームです。
Web制作の価値は、手を動かす量だけではありません。
企業の経営を整理し、顧客が理解して行動できる導線へ変換することにあります。
Webを経営の武器にする「2段階・6ステップ」

サクセシオのWeb制作は、大きく2つの段階、6つのステップで進めます。
最初の段階は、STRATEGY=戦略設計です。
ここでは、いきなりデザインを始めません。
まず「何のためにホームページを作るのか」を整理し、ターゲット、強み、ポジショニング、訴求方針を明確にします。
そのうえで、必要なページや情報の順番、問い合わせまでの導線を設計します。
次の段階は、EXECUTIONからIMPROVEMENT=制作・実行から改善です。
戦略と構成をもとにデザイン、Webサイト構築、コンテンツ制作へ進みます。
そして、公開して終わりではなく、アクセス状況や問い合わせの反応を確認しながら改善を続けます。
6つのステップは、次の通りです。
- 目的整理・戦略設計
- サイト構成設計
- デザイン
- Webサイト構築
- コンテンツ制作
- 公開・運用改善
大切なのは、工程を単に順番に並べることではありません。
前の工程で決めたことを、次の工程へ一貫して反映することです。
経営方針がサイト構成に反映され、サイト構成がデザインに反映され、デザインが実装に反映される。このつながりがあることで、ホームページは単なる会社案内ではなく、経営を支える仕組みになります。
最初に共有したい4つの原則

サクセシオでは、Web制作を始める前に、次の4つの原則を共有しています。
1.戦略が先、デザインは後
ホームページ制作というと、最初に色やレイアウト、写真などの話を始めたくなります。しかし、誰に何を伝えるかが決まっていなければ、良いデザインかどうかを判断する基準もありません。
そこで、まずは目的、ターゲット、強み、選ばれる理由、顧客に伝える順番を整理します。デザインは、その内容を正しく、分かりやすく伝えるための手段です。
2.すべての判断に根拠を持たせる
「このページがあった方がよさそう」「この表現の方が格好いい」といった感覚だけで制作を進めると、途中で判断がぶれやすくなります。
サクセシオでは、ページ構成、コピー、CTA、SEO要件、フォームなどの判断を、ポジショニングとカスタマージャーニーに結びつけます。
- なぜ、このページが必要なのか
- なぜ、この順番で情報を見せるのか
- なぜ、この言葉を見出しに使うのか
- なぜ、この場所に問い合わせボタンを置くのか
こうした問いに答えられる状態をつくってから、制作へ進みます。
3.工程ごとの承認で手戻りを防ぐ
構成が固まっていないままデザインを始めたり、デザインが決まっていないまま実装を進めたりすると、大きな手戻りが発生します。
そこで、各工程の境目にGate(ゲート)を設けます。Gateとは、次の工程へ進む前に、現在の工程の成果物と判断内容を確認する「工程移行の承認ポイント」です。
前工程の内容を変更する場合には、どのページや作業に影響するのかも確認します。これにより、変更の影響範囲を把握したうえで判断できます。
4.公開後に育てられる構造にする
ホームページは、公開した日が完成日ではありません。実際に公開して初めて、次のような反応が分かります。
- どのページが読まれているのか
- どこから問い合わせにつながったのか
- どの検索キーワードで訪問されているのか
- どのページで離脱しているのか
そのため、更新しやすい管理画面、アクセス計測、問い合わせ計測、改善しやすいページ構造まで含めて設計します。
Webサイトは「見た目を整える案件」ではなく、経営の整理を顧客導線へ変換する仕組みです。
戦略の核となる2つの設計図

「何を伝えるか」と「どの順番で伝えるか」を、2つの設計図で明確にします。
1.業界ポジショニングシート
業界ポジショニングシートでは、企業の強みを単に箇条書きにするのではなく、競合との関係の中で整理します。
主に明確にするのは、次の内容です。
- 自社は、どの領域で戦うのか
- そのポジションを支える強みは何か
- どのような価格戦略を取るのか
- あえて、やらないことは何か
- 競合との違いは、どこにあるのか
この整理によって、ホームページで「何を打ち出すべきか」が明確になります。
その結果は、見出し、キャッチコピー、実績の見せ方、価格の表現、競合との比較軸などに反映されます。
2.カスタマージャーニーマップ
2つ目は、カスタマージャーニーマップです。
顧客が企業を知り、情報を集め、比較し、問い合わせ、発注や継続に至るまでの流れを整理します。
- 顧客が取る行動
- そのときに考えていることや感じている不安
- 顧客との接点
- その段階でホームページが果たす役割
- 検証するためのKPI
これによって、顧客が知りたい順番に合わせて、情報と行動導線を配置できます。
サイトマップ、ナビゲーション、検索から流入するページ、CTA、問い合わせフォーム、アクセス計測などは、カスタマージャーニーをもとに設計します。
ポジショニングシートが「何を伝えるか」を決める設計図だとすれば、カスタマージャーニーマップは「どの順番で伝え、どのような行動につなげるか」を決める設計図です。
この2つを整理してから、サイトマップ、原稿、CTA、デザインを決めます。
進行を安定させる5つのGate

5つのGateで成果物と承認基準を明確にし、公開後も改善を続けます。
戦略を丁寧に整理しても、制作途中の判断が曖昧であれば、プロジェクトは不安定になります。
そこでサクセシオでは、5つのGateを設定しています。
- G1 戦略合意:目的、ポジション、ターゲット、訴求方針を確認します。
- G2 構成合意:サイトマップ、ワイヤーフレーム、各ページの役割、CTAを確認します。
- G3 デザイン合意:ビジュアル、UI、共通コンポーネント、スマートフォン表示を確認します。
- G4 統合確認:実装、原稿、写真、フォーム、管理画面など、サイト全体を確認します。
- G5 公開判定:動作、SEO、アクセス計測、データ移行、公開後の運用体制を確認します。
各Gateでは、成果物、承認基準、承認者、確定日を明確にします。
これは制作を窮屈にするための仕組みではありません。関係者が安心して判断できる状態をつくり、認識のずれや後工程での大きな手戻りを防ぐための仕組みです。
AIで効率化し、人が判断する
AIは、情報整理、文章案の作成、構成案の比較、アイデア出し、チェック作業など、Web制作の多くの場面を効率化してくれます。
一方で、次のような判断は、人が行わなければなりません。
- 企業が、どの市場で戦うのか
- どの強みを前面に出すのか
- どの顧客を優先するのか
- どの表現が企業の姿勢に合うのか
- 何を採用し、何を採用しないのか
サクセシオでは、AIに仕事を任せきるのではなく、AIで効率化し、人が判断・精査するという役割分担を大切にしています。
AIによって制作スピードが上がる時代だからこそ、判断の根拠と制作プロセスを明確にする必要があります。
公開は「納品」ではなく、検証の始まり
ホームページを公開した時点では、仮説を形にした段階です。
公開後のアクセス、検索順位、ページの閲覧状況、問い合わせ件数、問い合わせ内容などを確認することで、初めて改善点が見えてきます。
反応が弱ければ、見出しや導線を見直します。特定のページへの流入が増えているのであれば、そのテーマを深掘りします。問い合わせにつながっているページが分かれば、関連するコンテンツを増やします。
このように、反応を見ながらホームページを育てていくことが、Webを経営の武器にするためには欠かせません。
このスキームを、制作会社の皆さまと共有していきたい
制作会社を取り巻く環境は、これからも変化していきます。
しかし、AIがどれほど進化しても、企業の経営を理解し、その企業ならではの価値を整理し、顧客に伝わる形へ変換する仕事の重要性は変わりません。
むしろ、制作作業が効率化されるほど、制作会社が持つべき判断力、設計力、対話力の価値は高まっていくと考えています。
制作会社の皆さまが、サクセシオのスキームに興味を持ち、「自社でも取り入れてみたい」と言ってくださることを、私たちはとてもありがたく感じています。
この仕組みが、制作会社の業務改善だけでなく、その先にいる中小企業の成長にもつながれば、これほどうれしいことはありません。
サクセシオはこれからも、自社の制作案件でこのスキームを磨きながら、共有していきます。
Webを、単なる制作物ではなく、経営の武器へ。
それが、サクセシオのWeb制作です。